白露地・応現・積集
この作品は、事前に作りたいものがあったのではなく、展示のために与えられた空間があまりにも難しく、格闘した結果こうにしかならなかった。というのが正直な状況のような気がする。以前にも壁を作ったことがあるが、その時は空間の真ん中にそびえ立ち、紙がぎっちり詰まった塊の壁で向こうが全く見えないものだった。前回は、隔たりを作って向こうの世界と遮断する状況を示したが、今回は背伸びをすれば向こうも覗けるし又透けても見えるものに変えた。それでも自分の中では壁のつもり。塀のつもり。そして透けて見えているにもかかわらず、次には穴を開けて人が通れるようにしたくなった。
作品ができてしまってから自分で見て思うことだが、他人から見れば「私」は確かにココにいて自分としても確かに此処にありながら、見え見え透け透けの状態で、どんなことにも対応できる、そして流れていく。そんな風に生きていけたらいいなあ、と感じている。
2005.5.5. いしだ ともこ